医院名:仙川の森クリニック 
住所:〒182-0002 東京都調布市仙川町3丁目2−4 ウィステリア仙川2階 
電話番号:03-3300-0003

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは大腸粘膜に慢性的な炎症や潰瘍を起こし、寛解期と再燃期を繰り返しながら進行していく病気です。発症メカニズムがよくわかっておらず、根治できる治療法がないため、厚生労働省により難病指定を受けています。難病医療費助成制度が利用できるため、医療費の自己負担が軽減されます。治療は、炎症を抑える薬物を投与することで症状をコントロールし、寛解状態を維持することが大事です。

症状

腹痛、下痢、血便、粘血便、下腹部の違和感、発熱が主な症状です。急な体重減少などで気付くこともあります。症状のない寛解期と再燃期を繰り返しながら進行しますので、一時的に症状が治まることがありますが、寛解期にもしっかり治療を続けることで再燃期が来るのを遅らせることができます。定期的に受診して状態をしっかりコントロールしていきましょう。

似ている疾患

潰瘍性大腸炎には似た症状を起こす疾患がいくつもあります。特に注意が必要なのは、クローン病、細菌性赤痢、サルモネラ腸炎で、それぞれ治療法が異なります。感染症の場合、2次感染を起こす可能性もありますし、適切でない治療により悪化する可能性がありますので、必ず専門医の診察を受けてください。

クローン病

潰瘍性大腸炎が基本的に大腸に限られた病気であるのに対し、クローン病は口から肛門まですべての消化管に症状が現れる可能性があるという違いがあります。寛解期と再燃期を繰り返す発症メカニズムがわかっておらず、根治治療がなく厚生労働省により難病に指定されている点などは、潰瘍性大腸炎と共通しており、症状も類似しています。ただし、潰瘍性大腸炎とは異なり、症状が重い場合は厳格な栄養療法が不可欠で、寛解期でも食事制限が必要になることが多いため鑑別が重要になります。

細菌性赤痢

赤痢菌による感染症です。アジアの熱帯地域での感染リスクが高いのですが、2次感染や汚染された食品の摂取により海外渡航歴がなくても発症する例が報告されています。潜伏期間は1~5日程度で、下痢や腹痛、発熱などの症状が起こります。

サルモネラ腸炎

鶏卵などサルモネラに感染している食品の摂取で発症します。鶏卵以外では、食肉の摂取やペットとの接触でも感染することがあります。症状には、吐き気、嘔吐、腹痛、発熱、下痢などがあり、こうした症状が数日から1週間ほど続きます。

原因

潰瘍性大腸炎のはっきりとした発症のメカニズムはわかっていませんが、遺伝、食事内容、薬の服用、ストレス(免疫力の低下)などさまざまな問題が複雑に組み合わさって発症するとされています。

検査・診断

検査・診断症状の内容、起こり始めた時期と経過などを詳しく伺った上で、血液検査、腹部レントゲン検査、便培養検査、大腸内視鏡検査などを行います。特に大腸粘膜を直接観察できる内視鏡検査は確定診断に不可欠です。内視鏡検査では特徴的な所見の有無を確認し、他疾患との鑑別や、組織採取による病理検査などを行います。 潰瘍性大腸炎の場合、難病指定されているため血液検査による赤沈や貧血の程度を確認する重症度分類も行います。これで中等症以上と判断されると難病医療費助成制度の対象になります。

重症度分類

潰瘍性大腸炎の重症度は、重症、中等症、軽症に分類されます。診断基準は以下の通りとなります。

重症 中等症 軽症
1.排便回数 6回以上 重症と軽症の中間 4回以下
2.顕血便 (+++) 重症と軽症の中間 (+)~(-)
3.発熱 37.5度以上 重症と軽症の中間 37.5度以上の発熱がない
4.頻脈 90/分以上 重症と軽症の中間 90/分以上の頻脈なし
5.貧血(ヘモグロビン) Hb10g/dL以下 重症と軽症の中間 Hb10g/dL以下の貧血なし
6.赤沈 30mm/h以上 重症と軽症の中間 正常

クローン病との鑑別

特徴的な所見を内視鏡で確認することで鑑別を行います。潰瘍性大腸炎の場合、粘膜表層の炎症が、直腸から口側に広がっていく傾向がありますが、病変の範囲は主に大腸に限局しています。クローン病は口から肛門まで消化管のどこにでも病変を生じる可能性があり、粘膜だけでなく腸管壁全層が侵され、瘻孔を形成したり穿孔することもあります。またクローン病は口内炎、関節炎、痔ろうなどを合併することもあります。

細菌性大腸炎との判別

細菌性大腸炎(細菌性赤痢やサルモネラ腸炎など)は、大腸内視鏡検査に加え、便の培養検査や組織を採取して病理検査を行うことで確定診断ができます。

治療法

治療法症状のある時には、炎症をできるだけ早く解消する治療を中心に行い、症状が治まる寛解期には症状が再び現れないように治療を続けていきます。発症メカニズムがわかっていないため、根治に導く治療はありませんが、炎症を解消する治療は可能ですので、上手にコントロールできるようになれば良い状態を長く続けていくことができます。重要なのは症状がない寛解期にも治療をしっかり続けることです。治療は薬物療法が基本です。薬は症状に合わせて5-アミノサリチル酸薬(5-ASA)、副腎皮質ステロイド薬、免疫調節薬などを使用します。薬物治療で改善しない場合や重症例では、血球成分除去療法や手術が必要となる事があります。

5-アミノサリチル酸薬(5-ASA)

潰瘍性大腸炎の治療薬として、最も広く使用されている薬です。炎症を抑え、諸症状を軽減させます。主に軽症~中等症の方に使用します。

副腎皮質ステロイド薬

中等症~重症の患者様に用いられ、炎症を強力に抑制する効果があります。重大な副作用を避けるためにも、医師の指示に従って使用してください。

免疫調節薬

ステロイド薬で効果がない方やステロイド薬の治療が中止できない方に使用します。

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