医院名:仙川の森クリニック 
住所:〒182-0002 東京都調布市仙川町3丁目2−4 ウィステリア仙川2階 
電話番号:03-3300-0003

ピロリ菌

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)とは

ピロリ菌とは胃粘膜は、分泌腺から分泌される胃酸や消化酵素により強酸性の状態を保っています。そのため細菌や微生物は生息することができないと考えられていました。しかし、1980年代にオーストラリアの医師が胃からの分離培養に成功し、ピロリ菌という胃粘膜の酸性に耐える細菌が発見されました。
その後、このピロリ菌が胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんの主な原因であることが分かるようになりました。

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌の感染経路はまだ完全にはわかっていませんが、口から入って胃に感染する経口感染が原因であると言われています。感染率が高いのは衛生環境が悪い地域ですが、大人になってからそういった地域に行っても感染することはほとんどないため、免疫力や胃酸がまだ弱い乳幼児期に感染が起こると考えられています。また、乳幼児期にピロリ菌感染を起こすと除菌治療を成功させない限り、成人してもピロリ菌がなくなることはありません。
日本は先進国中では例外的にピロリ菌感染者数が多く、乳幼児期の口移しや食器の共有などによって感染していると考えられています。30歳以下の感染率は低下していますが、70歳以上の感染率がまだかなり高い傾向があります。子どもが生まれる前に両親や祖父母が除菌治療を受けておくことで次世代へのピロリ菌感染を効果的に防ぐことができます。

ピロリ菌と病気の関係

ピロリ菌と病気の関係ピロリ菌と胃がんの関連はかなり前から注目されていますが、他のさまざまな疾患の発症にも関わっていることが近年、次々にわかってきています。ピロリ菌は本来、強い酸性の胃酸がある環境では生存できませんが、ウレアーゼという酵素によってアンモニアなどを生成させて周囲の酸を中和し、それによって胃という環境に住み続けています。こうしたアンモニアなどが胃の粘膜を傷付け、慢性的な炎症を引き起こします。ピロリ菌が胃粘膜に炎症を起こしやすい環境を作って防御作用を弱めるため、ストレスや刺激性の食事、発がん物質などの影響を受けやすくなり、さまざまな疾患を起こしていると考えられています。現在では胃がん、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープ、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病などの発症にピロリ菌感染が関わっているとされています。

慢性胃炎・萎縮性胃炎

ピロリ菌によって慢性的な炎症が続くと胃の粘膜が弱くなって萎縮を起こします。この萎縮性胃炎は胃がんへと進行しやすいリスクの高い状態です。代表的な症状に、空腹時の胸やけ、胃の痛み、吐き気、胃もたれ、食後のむかつきなどがありますが、まったく症状がなく慢性的な炎症が続いているケースもあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

炎症が強くなり、胃酸や消化酵素が粘膜や筋層まで傷付けることで起こります。出血や、胃に穴が開き穿孔が起こることもあります。ピロリ菌感染が関与しているケースが多く、他には解熱鎮痛薬による血流障害、粘膜防御機能の低下などで発症することもあります。みぞおちの痛み、黒っぽい便、吐血などが代表的な症状です。潰瘍が認められた場合は胃酸分泌を抑制して粘膜を修復させる薬物療法が効果的です。ピロリ菌感染がある場合は再発を繰り返す可能性が高いため、除菌治療を受けることを推奨します。これより再発率を大きく低下させることができます。

胃がん

世界保健機構(WHO)によってピロリ菌は「確実な発がん因子」であると認定されています。他にも、食塩、喫煙などが胃がんの発生因子と考えられています。ピロリ菌による慢性胃炎が続いて、胃の粘膜が薄く痩せてしまう萎縮性胃炎になると、胃がん発生リスクが高くなります。出血や痛みなどの症状が現れることもありますが、日常的によくある不調程度や、ほとんど症状のないまま進行してしまうこともあります。

ピロリ菌の除菌について

ピロリ菌の生息が確認された場合、元の病気の治療との兼ね合いを見ながら7日間の一次除菌療法(胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬による)を行います。その後、再度検査を行いピロリ菌の生息が確認されなければ除菌成功です。 生息が確認された場合は二次除菌療法を行います。一次除菌で使用した抗菌薬を1種類別のものに変更し、同じく7日間服用して頂きます。

除菌治療後から一月以上経過した後に、除菌の結果判定のための検査を行います。

ピロリ菌の検査方法

内視鏡検査の際に組織を採取して行う検査と、それ以外の検査に分けられます。

内視鏡検査

胃粘膜の状態を観察し、ピロリ菌感染を示唆する所見の有無を確認する検査です。同時に組織を採取することにより、ピロリ菌感染の確定診断を行います。

病理検査(組織鏡検法)

採取した組織を顕微鏡で直接確かめます。ピロリ菌の数が十分でないと判定が困難です。

培養法

採取した組織から菌を分離培養して検査します。

それ以外の検査

血清抗体検査・尿中抗体検査

血液や尿を採取して、ピロリ菌の抗体がないかを調べます。除菌に成功しても数年は陽性と出ることがあるので、除菌判定には向きません。

便中抗原測定

便を採取して、ピロリ菌の有無を確認します。

尿素呼気試験

呼気で調べる検査です。ピロリ菌が作るウレアーゼという酵素に反応する試薬を内服していただき、服用前と服用後の呼気を採取して感染の有無を調べます。朝食を取らずにご来院いただき、検査を行います。
当院ではピロリ菌除菌後の効果判定は、こちらの検査を主に行っております。

保険適用

保険適用内視鏡検査で以下の診断を受けた方は、健康保険でのピロリ菌の検査・除菌が適用となります。

慢性胃炎、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少症、早期胃がんの内視鏡治療後、機能性胃腸症(FD)、胃ポリープ

※他の施設あるいは検診で胃内視鏡検査やピロリ菌検査を受けられた方は、必ず検査結果および検査日が明記された用紙を持参して下さい(6カ月以内に検査が行われていることが望ましいとされています)。

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