医院名:仙川の森クリニック 
住所:〒182-0002 東京都調布市仙川町3丁目2−4 ウィステリア仙川2階 
電話番号:03-3300-0003

いぼ痔

いぼ痔(痔核)について

いぼ痔(痔核)について肛門(おしりの穴)は便が排出される消化管の出口です。肛門管の長さは3~4cm程で、括約筋により閉じたり開いたりする事が出来ます。肛門管内腔の表面は大部分が皮膚(肛門上皮)で覆われています。直腸粘膜と肛門上皮の境目を歯状線と言います。歯状線の周りには、毛細血管が網目状に集まった静脈叢があってクッションの役割を果たしています。長時間立っていたり、座ったままでいたり、息んだりすると、この静脈叢に負荷がかかり、うっ血を起こしてイボのようなふくらみができることがあります。この様にして出来た静脈のコブが痔核です。痔核(いぼ痔)には、肛門内側(歯状線の上)の粘膜下にできる内痔核と、肛門外側(歯状線の下)の皮下にできる外痔核があります。 皮膚部分には知覚神経があるため痛みを強く感じますが、粘膜には知覚神経がないため痛みがほとんどありません。そのため、内痔核と外痔核は症状にも大きな違いがあります。

内痔核について

内痔核について肛門の歯状線より内側の粘膜下にできる痔核です。粘膜下の静脈叢がうっ血して発症し、排便時のいきみによって肛門の外に脱出(脱肛)するようになります。基本的には痛みを感じることは少なく、出血や脱肛によって気付かれることが多いようです。大量に出血することもあります。

主な症状

排便時にイボのようなふくらみが出てくる
排便時に出血がある(便器が真っ赤になるほど出血することもある)
炎症を起こさない限り、痛みを起こすことはほとんどない

内痔核の分類

内痔核の進行は、Goligher分類により4段階に分けられます。

Ⅰ度

肛門内に痔核がとどまっており、排便時の脱出がない状態です。
痛みがないため、出血をきっかけに発見されることがあります。

Ⅱ度

排便時に痔核が脱出しますが、自然に中へ戻ります。
出血を起こすことがあり、炎症が起こると痛みを生じます。

Ⅲ度

排便時に脱出した痔核が自然に戻らなくなりますが、指で押し込むと戻せます。
出血を起こすことがあり、炎症が起こると痛みを生じます。

Ⅳ度

痔核が常に出ている状態で、押して戻すことができない状態です。
嵌頓(脱出した痔核が括約筋により強く締め付けられ、血流が阻害され壊死を起こした状態)を起こすと、腫れが大きくなって激痛を伴います。嵌頓痔核では早急な治療が必要となります。

外痔核について

外痔核について歯状線より外側の皮膚部分にイボ状のふくらみができます。知覚神経がある部分なので痛みを感じ、特に急性の静脈炎を併発すると激しい痛みを生じます。 速やかな専門医の受診が不可欠です。主な原因は便秘や下痢の時の強いいきみや、長時間の座った状態により、肛門に負担がかかりうっ血してしまうことです。肛門の周りの細い血管が切れて血豆が出来るタイプの外痔核(血栓性外痔核)もあります。

主な症状

肛門にイボのようなふくらみができる
痛みをともなうことが多い
つぶれて出血することもある

いぼ痔の治療

保存的治療

いぼ痔の治療は基本的に生活習慣の改善と、薬物を用いた保存的治療が基本となります。症状や痔の状態に応じて、外用薬(坐薬や軟膏)や内服薬を処方いたします。同時に食事や排便コントロールなどの生活指導を行います。いぼ痔の根本的な原因となる便秘や下痢を改善していくことで症状の緩和や再発防止に努めます。保存的治療でも改善が見込めない場合には、手術などによる治療を検討します。

生活習慣の改善
  • 十分な水分を摂取し、食物繊維を多くとるように心がけましょう。
  • 刺激物(香辛料など)や、アルコールの過剰な摂取は控えましょう。
  • 排便時に肛門に負担がかからないよう、強く息んだり、長時間便器に座り続けるのはやめましょう。
    トイレは3分以内に済ませましょう。
  • 長時間の立ち仕事や、同じ姿勢で座り続けることは極力控えましょう。
  • 身体を冷やさないようにしましょう。
  • 適度な運動や、入浴により血行をよくしましょう。
  • 排便後は肛門に便が残らないようにし、清潔を保ちましょう。
    トイレットペーパーを軽く押し当てるように拭いてください。決して強くこすりすぎないようにしましょう。
    トイレの温水洗浄機能を使用するのも効果的ですが、勢いが強すぎるとかえって逆効果になることがあるので、ほどよい水勢に調整して下さい。
  • 不規則な生活や、ストレスを避けましょう。

痔の手術

ALTA療法

ALTA療法内痔核硬化療法(ALTA療法)とは、脱出を伴う内痔核(排便時に出てくる、または普段から出たままの状態のいぼ痔)に対して直接薬剤を注入し、痔核を固めて脱出しないようにする治療法です。図のように一つの痔核に対して4ヶ所注射を行います(四段階注入法)。この注射液に含まれるアルミニウムカリウムタンニン酸液(ALTA)の効果によって炎症が生じそれが治まる際に線維化が生じます。その際、周囲の筋組織を巻き込みながら固定された内痔核が下に沈み込んで括約筋にしっかりと固定され脱出しなくなります。その後、痔核部分は硬化しながら徐々に縮小し、個人差にもよりますが、1週間~1ヶ月程で完治していきます。

※内痔核に対する治療法であり、外痔核には適用しません。
結紮切除術

いぼ痔(痔核)の根治治療として一般的に用いられる手術法です。血液が流入してくる痔核の根元の血管を結紮し(糸でしばり)、痔核を切除します。どのようなケースのいぼ痔にも対応できます。再発の恐れはありませんが、手術後は痛みや出血がみられることがあります。複数のいぼ痔を同時に切除した場合、肛門狭窄を起こす恐れがあるため注意が必要です。

ゴム輪結紮術

内痔核を専用の器具で持ち上げ、ゴム輪をかけて縛り、数日かけて脱落させる方法です。外痔核には適用がありません。根治性は低く再発率が比較的高い手法ですが、外来で簡単に行う事が出来るばかりでなく、一時的な症状の改善には適した方法です。

外痔核切除

外痔核は保存的治療により1〜2週で改善することが多いので、基本的には薬物治療を優先します。ただし、症状が強く早急な治療が望まれるときや、保存的治療でなかなか改善されないとき、何度も再発を繰り返す場合には、手術を検討します。イボを切除する根治治療になります。保存的治療と比較すると早期に症状は改善されます。

院長から一言

いずれの術式も、当院では日帰り手術で行っております。術後は、2~3日の自宅療養を要することもありますが、個々の痔核の状態や術式によって変わるので、詳細は術前説明の際に医師にご確認ください。
また、痔核の数や程度により、日帰り手術では対応できない場合もあります。 その場合には、関連の入院施設(病院)をご紹介させていただきます。 まずは一度ご来院ください。

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